今日は、ギターの掃除についてです。年末の大掃除の時期になると、「ギターもきれいにしたいけど、何を使ってどこを拭けばいいの?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ギターの掃除のやり方を、ボディ・指板・フレット・金属パーツ・ジャックの部位ごとにまとめます。専用品と、家にあるもの・100均で代わりになる物、アルコールや洗剤は使っていいのか、掃除の頻度の目安も紹介します。エレキギターが中心ですが、アコギやクラシックギターにも共通する所が多いです。難しい作業はないので、気軽に試してみてください。
ギターの掃除は「弾いたあとの乾拭き」と「弦交換のときの掃除」が基本
ギターの掃除は、毎回やることと、弦交換のときにやることを分けるとやりやすいです。
- 毎回:弾き終わったら、クロスで弦とボディを乾拭きする
- 弦交換のとき:弦が張ってあると拭きにくい指板・フレット・ブリッジ・ピックアップ周りを掃除する
- 気になったとき:フレットやペグのさび、ツマミの汚れ、ジャックのガリなどに手を入れる

弦交換のタイミングで掃除をまとめると、弦を外す手間が1回で済みます。
ギターの掃除の道具は、ギター用の専用品と、家にあるもの・100均・ホームセンターで手に入る物の組み合わせで十分です。
そろえておきたいギター用の道具
- ギタークロス:毎回の乾拭きに使う。いちばん出番が多い道具
- ポリッシュ:乾拭きで落ちない手あかや、くもりを取ってツヤを出す液体
- 指板オイル:塗装されていないローズウッドやエボニーの指板の汚れ落としと保湿に使う
私がギターの掃除に使っているのは、基本的には Morris のクロスです。ふだんの掃除なら、クロスが1枚あればほとんど済みます。
クロスは、シリコンの入っていない楽器用の物を選ぶと安心です。楽器によってはシリコンで塗装が変質することがある、とヤマハも説明しています。
家にあるもの・100均・ホームセンターで代わりになる物
細かい所の掃除やさび落としは、家にあるものや、100均・ホームセンターで買える物でも十分できます。私が実際に使っているのは次のような物です。
- 綿棒:クロスが届かない細かい所のほこり取り
- マスキングテープ:フレットを磨くときに指板を守る
- 金属磨き(ピカールなど)とスチールウール(0000番):フレットやペグのくすみ・さび落とし
- ベビーオイル:指板の保湿(塗装されていない指板だけ)
- 歯ブラシと中性洗剤:外したツマミの汚れ落とし
- 着古した T シャツ:金属磨きの拭き取りなど、作業用の布
- ビニール手袋:金属磨きが手に付かないようにする(100均の物で十分)
着古した T シャツは、ほこりが付いていることもあります。ボディの仕上げの拭き上げにはクロスを使い、T シャツは金属磨きの拭き取りのような作業用にすると安心です。
「日用品で代用すると楽器を傷めるので、専用品を使うべき」という声もあります。ただ、個人的にはそんなことはないと思っています。ちゃんと成分などを確かめて選べば大丈夫です。
代わりに使わない方がいい物
一方で、場所によっては使わない方がいい物もあります。
- 潤滑剤のスプレーなど油分の多い物(ジャックの中):ほこりが付く原因になる
- 研磨剤(メッキのパーツ、特に金色のパーツ):メッキがはがれることがある
- オリーブオイルなど乾かないタイプの食用油(指板):指板が傷むと思うので、やめておいた方がいい
毎日の掃除:弾いたあとに弦とボディを乾拭きする
いちばん大事なのは、弾き終わったらすぐに拭くことです。手の汗や皮脂を放っておくと、弦がさびたり、ボディや指板に汚れが残ったりします。錆びた弦のまま弾いてしまうと、フレットをガリガリと削ってしまうので注意しましょう。
私は毎回、ギターを弾き終わったら、Morris のクロスでギター全体と弦を拭いています。弦は1本ずつ、クロスで挟むようにして拭きます。こうすると、弦の裏側に付いた汗も取れます。
「掃除は弾くたびに乾拭きするだけで十分」という声もあります。ちゃんと毎回拭けていれば、かなり長くきれいな状態を保てると思います。ただ、それでも定期的な掃除はやはり必要だと考えています。弦が張ってある間は、ブリッジやピックアップの周りなど、クロスが届かない所があるからです。
ボディの掃除のやり方
ボディは、次の順番で掃除します。
- ほこりを払う(細かい所は綿棒で)
- クロスで乾拭きする
- 落ちない汚れやくもりだけ、ポリッシュをクロスに少し付けて拭き、最後に乾いた面で拭き上げる
先にほこりを取っておくのは、ほこりが付いたままこすると、細かい傷の原因になるからです(私はあまり気にしませんが)。ポリッシュをクロスに付けてから使うと、ピックアップの隙間など、つけなくてもいいところに液が入りにくくなります。
塗装による違いとスタンド焼け
ポリウレタンなどの丈夫な塗装なら、ふつうのポリッシュで問題なく掃除できます。
気をつけたいのは、ラッカー塗装(ニトロセルロースラッカー)のギターです。ラッカーは薄くて傷みやすい塗装なので、溶剤の入っていない物を使い、初めて使う物は目立たない所で試すのが安心です。
また、「ラッカー塗装のギターはゴムのスタンドに立てない方がいい」とよく言われます。スタンドのゴムと塗装が反応して、跡が残ったり変色したりすることがあるためです(スタンド焼け)。私はラッカー塗装のギターは持っていませんが、この意見には賛成です。どうしても使う場合は直接触れないようにする必要があると思います。
ちなみに、私のギターはメイプル指板で、ラッカー塗装ではありません。なので、特に気をつけていることはなく、クロスで普通に拭いています。
指板の掃除とオイル
指板は弦の下に隠れているので目立ちませんが、弦を外してみると、手あかやほこりで案外汚れています。指板の掃除は、弦交換で弦を全部外したときにまとめて行います。
オイルを塗るかどうかは、指板の木材の種類で分かれます。
| 指板 | オイル | 掃除のしかた |
|---|---|---|
| メイプル指板(塗装あり) | 塗らない | クロスで乾拭き |
| ローズウッド・エボニー指板(塗装なし) | 弦交換のときに少量 | 柔らかい布にオイルを取って、指板とフレットを拭く |
メイプル指板は、ふつう表面が塗装されています。木にオイルが染み込まないので、ボディと同じようにクロスで拭けば大丈夫です。私のエレキギターもメイプル指板なので、オイルは塗っていません。
塗装されていない指板には、オイルで汚れを落としながら、適度な油分を与えます。私はクラシックギターの指板に、ジョンソンのベビーオイルを塗っています。乾燥で割れた指板を直したときの記事と動画で、そのやり方を紹介しています。
詳しくは、【ギターリペア】 指板の割れ(クラック)を修理のやり方とオイルで指板の保湿にまとめています。
「指板オイルは塗らない方がいい(塗りすぎると逆に傷む)」という声もあります。私が気になるのは、オリーブオイルのような乾かないタイプ(不揮発性)の油を、間違えて塗っている人がたまにいることです。これは指板が傷むと思います。指板用のオイルやベビーオイルを、薄く塗って余分を拭き取るくらいで十分です。
フレットの掃除・磨き
フレットがくすんだり、さびたりしてきたら、磨いてきれいにします。手順は次のとおりです。
- 指板をマスキングテープで守る(フレットだけが出るように貼る)
- さびがひどいときは、スチールウール(0000番)で落とす
- ピカールなどの金属磨きで磨き、布で拭き取る
マスキングテープを貼るのは、研磨剤で指板の木や塗装を傷めないためです。スチールウールは番手(目の細かさ)に注意してください。0000番はいちばん細かいタイプです。
私がこれまででいちばん大変だったのは、12年ぶりに引っ張り出してきたギターのフレットのさびでした。赤さびだらけのフレットでしたが、スチールウールとピカールで磨いたら、ピカピカになりました。その様子は動画にしているので、ぜひ見てみてください。
使った道具と手順は、【ギターメンテナンス】フレット磨き&サビ取りのやり方、ブラスナット磨き(ピカール)【リペア初心者】で詳しく紹介しています。磨いてもフレットの端が指に引っかかるときは、【ギターリペア】フレットのバリ取りのやり方【専用工具なし】も参考にしてください。
ペグ・ブリッジ・ピックアップ周りの掃除
ブリッジやピックアップの周りは、弦が張ってあるとクロスが入りにくい所です。私は弦交換のときに、こうした拭きにくい所をまとめて掃除しています。細かい隙間は、たまに綿棒も使います。
ペグやツマミがさびたり、汚れたりしているときは、外してきれいにするのもおすすめです。12年ぶりに出したギターでは、ペグのさびと、ボリューム・トーンのツマミの汚れもひどい状態でした。ツマミは外して中性洗剤に漬け、歯ブラシでこすったら、かなりきれいになりました。
ペグのさびの落とし方とツマミの外し方は、【ギターメンテナンス】ペグのサビ取りのやり方&ボリューム・トーンノブの外し方、クリーニング【リペア初心者】で紹介しています。
ジャックの掃除(ガリが出るとき)
シールドを挿したときに「ガリガリ」と雑音が出るのは、ジャックの接触不良が原因のことが多いです。しばらく弾いていなかったギターで起こりやすいトラブルです。
ヤマハは、無水アルコール(エタノール)を付けた綿棒で、ジャックの中をこすって磨く方法を紹介しています。このとき、潤滑剤のスプレーのような油分を含む物は、逆にほこりが付く原因になるので使いません。接点復活剤の中にも油分を含む物があるので、成分を確かめてから使うと安心です。ゴムやプラスチックにやさしい商品を使いましょう。
私は、エレクトロ・ハーモニックスの接点復活剤を使いました。ホームセンターなどで売っている、KUREの普通の接点復活剤でも問題ないと思います。楽器用とは量が全然違います。
シールドのプラグ側がさびているときは、ギターシールドのプラグ部分のサビ・汚れをきれいにして復活させる方法【ガリ修理・メンテナンス】のやり方で、ピカピカにできます。ジャックがゆるんで回るときは、中の配線が切れることがあるので、早めに締め直しておきましょう。
アルコールや洗剤は使っていい?
結論から言うと、使う場所を選べば使えます。
- アルコール:ジャックの中の接点の掃除には使えるが、個人的には接点復活剤の方がおすすめ。ボディの塗装面には使わない方が無難(特にラッカー塗装)
- 中性洗剤:外したツマミなど、パーツを洗うのには使える。ボディは基本的にクロスの乾拭きとポリッシュで済ませる
ボディの塗装面にアルコールを使わない方がいいのは、溶剤に弱い塗装があるからです。ラッカー塗装のような薄い塗装は、溶剤の入っていない物で手入れするのが安心です。
ボディの汚れがどうしても落ちないときは、薄めた石けん水をほんの少しだけ含ませた布で拭き、すぐに乾拭きする方法もあります。水分が残らないように、布はしっかり絞ってください。
個人的には、ギターの汚れは多少残っていても良いんじゃないかなと思います。そっちの方がカッコいい場合もありますしね。
ギターの掃除の頻度の目安
掃除の頻度は、次の表を目安にしてください。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 毎回(弾いたあと) | クロスで弦とボディを乾拭き |
| 弦交換のとき | 指板・フレット・ブリッジ・ピックアップ周りの掃除。塗装されていない指板はオイル |
| 気になったとき | フレットやペグのさび落とし、ツマミの洗浄、ジャックの掃除 |
弦交換の頻度は、できれば1か月に1回くらい変えたいところです。弦交換のたびに掃除をすると決めておけば、無理なく定期的にギター全体をきれいにできます。エリクサーでも何ヶ月も張りっぱなしは良くないと思いますが、私はあまり弾かないギターは張りっぱなしだったりします…
また、冬は空気が乾燥して、塗装されていない指板が乾きやすい時期です。弦交換のときに、指板の状態もあわせて見ておくと安心です。
自分で落ちない汚れは楽器店のクリーニングへ(料金の目安)
ふだんの簡単なギターの掃除は自分でできますが、フレットの深い傷やすり減り、ネックの調整などは、楽器店や工房に頼むのが安心です。楽器店のメンテナンスの料金は、店や作業の内容で変わります。例えばESPギターワークショップの料金表(税込)では、次のようになっています。
| 作業 | 料金(税込) |
|---|---|
| フレット磨き・クリーニング | 1,650円〜 |
| セットアップ(オクターブ、ロッド、弦高、ピックアップ高) | 6,050円 |
| フレットのすり合わせ | 13,200円〜 |
私は、クリーニングのような簡単なことは、昔から自分でやるようにしていました。ただ、フレットのすり合わせは楽器店に頼んだことがあります。ガタガタだったフレットが直って、フレットもピカピカになっていて感動しました。自分では難しい作業は、プロに任せるのがいちばんだと思います。
自分でやる作業と、お店に頼む作業の線引きは、自分でできた方が良いギターメンテナンス、リペア一覧でも書いています。ネックや弦高の調整を自分でやるときは、ギターの基本メンテナンスを自分でやる【ナット調整、ネック調整、弦高調整、ピックアップの高さ、オクターブ調整】も参考にしてください。
まとめ
- ギターの掃除は、毎回の乾拭きと、弦交換のときの部位ごとの掃除が基本
- 道具はクロスが中心。細かい所やさび落としは、家にあるもの・100均・ホームセンターの物でも十分
- メイプル指板(塗装あり)にオイルは塗らない。塗装されていない指板だけ、弦交換のときに少量
- アルコールはジャックの接点には使えるが、ボディの塗装面には使わない方が無難
- フレットのすり合わせなど、自分では難しい作業は楽器店に頼む
毎回きちんと拭いておくだけでも、ギターはかなり長くきれいな状態を保てます。年末の大掃除のついでに、弦交換と一緒にギターもきれいにしてみましょう。さび落としやパーツの掃除の様子は YouTube の動画でも紹介しているので、よければ見てみてください。
参考資料
